自宅の再建
親戚や知人の協力を得、3ヶ月ぶりにとりあえず倒壊した家を解体することができた。
そしてその跡地に住まいを立てる計画を立てていたが、区画整理に入っていたため、神戸市より本建築許可が下りず、やむを得ずプレハブ仮設住宅を建てることとなった。
初めのうちはプレハブとはいえども寒さもしのげ、足を伸ばして寝ることもでき、公園での生活とは比べ物にならなかった。
しかし、年数とともにプレハブにもたくさんの問題が生じ、2階での生活は安らぎから徐々に不安へと変わっていった。こうして仮換地決定までの8年間を落ち着くこともなく過ごした。
2002年、我が家はやっと本建設許可を得ることができ、2003年待ちに待った我が家が完成。こうして、今現在の我が家で私たちはやっと震災前の落ち着きを取り戻せた気がします。
まちづくり協議会の活動
協働まちづくりの仕組みを総合的に示しているのが、神戸市まちづくり条例(正式名:神戸市地区計画及びまちづくり協定の関する条例、昭和56年制定、平成元年改定)である。この条例ではまちづくりを主体として「まちづくり協議会」を位置づけ、協議会市長に「街づくり提案」などをすることができる。

まちづくり協議会により市街地復興計画に取り組むという行政の方針のもとに、幹線道路や公園(防災公園)などの根幹的都市施設と、住民意向を反映させて、身近な生活道路や公園、地区計画等を都市計画として定める2段階に分けた2段都市決定計画方式を決定。

新長田駅北地区は、100m四方の街区でそれぞれに土地利用が異なり、この街区が地区のコミュニティーの基礎単位となっており、震災後、その街区を基本に21のまちづくり協議会を設立する。


このうち、新長田駅北地区東部では、身近な住民有志が集まって12の協議会が設立された。
■まちづくり協議会と自治会の違い
まちづくり協議会 自治会
会員 ●住民、企業、土地建物の所有者など、地区に関わる全ての人 ●主として住民など。地区に居住しない地権者などは含まれない。
主な役割 ●長期的なまちづくりの取り組み
●利害を伴う事業化やルールづくり
●地域活性化、景観形成
●具体的な住民の互助
まちづくり提案 ●まちづくり条例に基づき、市長に提案できる。 ●地区に関わる全ての人の総意を示すものでなく、市長にまちづくりの提案はできない。
ルールづくり ●地区計画、まちづくり協定など、状況の変化や必要性に応じて、地区独自のルールづくりができる。 ●地区独自のルールづくりは出来ない。
(例:ラブホテルが適法である限り、自治会の反対により行政が建築を止めることはできない)
役員 ●まちづくりの経験や展望を継承していくために、役員の継続的参加や新役員の蓄積の継承が必要。 ●毎年変わる当番制でも可能。
地区街づくりへの歩み
当地区の各協議会の区域だけではできない街区公園の配置、住工の住み分け、地区計画、共同建替などの課題の発生とともに、課題を共有した隣接協議会どうしが懇談会をつくり、連携して課題の解決に取り組んだ。その結果を「まちづくり提案」として提出し、住宅再建や仮換地をするための条件である街区整理事業の事業計画に反映されてきた。
まちづくりの評価
「復興まちづくりの検証アンケート調査」 平成16年10月実施 対象:当地区全世帯 回収率:約17%
■区画整理事業に対する評価
回答
区画整理をしてたいへん良かった、良かった・・・50%
不満のほうが大きい・・・25%
どちらともいえない・・・25%
不満の理由
事業期間が長くかかりすぎている
不公平感がある
良かった理由
町の環境が良くなった・・・70%
震災前の状況では再建できなかった・・・50%
間取りが広くなるなど居住環境が良くなった・・・20%
住宅居室の広さ
十分な広さがある、丁度よい広さ・・・80%
■環境の評価
特色、良い点
駅の近く将来性がある
便利の良い住宅地
快適に歩くことができる道路が多くなる
半数以上
公園、緑地が多くなる
老後も住みやすい
道路状況が良くなり車利用に便利
町並み景観が美しくなった
1/3以上
■問題点、課題
日常のマナーが悪い
交通マナーが悪い
半数以上
防犯上の心配がある
下町らしさがなくなった
シューズ産業等の事業所減少による地区活力の低下
水や緑の自然環境づくりが不十分
快適に歩く道路が少ない
利用できる公園・緑地が少ない
1/3以上
●考査
マナー向上、防犯、地区の活性化が必要
水や緑の自然環境整備、歩道整備、公園の整備などに期待していたものの整備が遅いことへの不満がある
■まちづくりに対する評価
住民主体でまちづくりに取り組むことの評価
たいへん良いこと、良いこと
約8割
行政にまかせるべき
0%
■まちづくりの意義
地区の活性化に役立つ
住民意向にあったまちづくりができた
まちづくりに対する知識とともに意識が変わる
人々の交流
町の愛着が深まる
マナーの向上の評価が低い
■まちづくり活動に対する理解
「交番誘致のための署名活動」以外の活動が認識されていない
■まちづくり協議会活動やボランティア活動などへの参加
約8割が「良いこと」と思っている
「できるだけ参加したい」は2.5〜1割程度にととまっている
→「良いことと思うが時間がなくて参加できない」(地震後転入者の約7割)